家づくりコラム

2026.08.20
中古マンションを買ってリノベ、という選び方【札幌】|物件選び5つのチェックと使える補助金
札幌で住まいを探していて、こんなふうに感じたことはないでしょうか。
「新築マンション、いつの間にか手が届かない価格になっていた」
「立地で選ぶと予算オーバー。予算で選ぶと通勤が遠くなる」
そこで選択肢に入ってくるのが、中古マンションを買って、自分たちに合わせてリノベーションするという方法です。
この記事では、札幌でこの選び方をするときに何を基準に物件を選び、どこにお金をかけ、どの制度が使えるのかを、実際にマンションの全面リフォームを手がけている弘信建設の視点で整理しました。

なぜいま札幌で「中古を買ってリノベ」なのか
新築マンションの平均は5,739万円
2025年に札幌市内で売り出された新築分譲マンションの平均販売価格は、1戸あたり5,739万円。前年から600万円(11.7%)上がり、統計史上の最高値を更新しました(DGコミュニケーションズ調べ/出典:北海道住宅通信「2025年 札幌市内の新築分譲マンション」 https://juu-tsuu.net/juutsuu/entry?eid=31888 )。新規発売戸数は1,193戸で、供給そのものも絞られています。
背景にあるのは用地取得費と建築費の高騰で、これは一社の努力でどうこうできる話ではありません。「新築マンションを買う」という選択肢が、多くのご家庭にとって現実的でなくなりつつあります。これが札幌のいまの状況です。
中古なら、同じ予算で「立地」と「中身」を両方取りにいける
一方、札幌市の中古マンションの相場は70㎡換算でおよそ2,000万円台(マンションレビュー調べ・2026年7月時点/出典:https://www.mansion-review.jp/baikyaku/city/10001/souba.html )。もちろん立地や築年数で大きく振れますが、新築とは一桁違う出発点から検討できるのは事実です。
中古を選ぶ最大の利点は、「立地を先に確保できる」ことにあります。新築の供給は郊外やJR沿線へ広がっていますが、中古なら地下鉄駅の近く、学校区の中、職場のそばなど、すでに街ができあがっている場所に在庫があります。
そして、古さや使いにくさは後から工事で直せます。逆に、立地は工事では直せません。この非対称性が「中古を買ってリノベ」という選び方の核心です。
| 新築マンションを買う | 中古を買ってリノベ | |
|---|---|---|
| 立地 | 販売中物件がある場所に限られる | 希望エリアから選びやすい |
| 間取り・仕様 | 基本は用意されたプラン | 暮らしに合わせて決められる |
| 初期費用 | 高い | 物件価格+工事費の合計で調整できる |
| 手間と期間 | 少ない | 物件探し+設計・工事の期間が必要 |
| 断熱・設備 | 最新 | 工事する範囲は新築同等にできる |
正直に書けば、手間はかかります。物件を探し、工事の内容を決め、着工から引き渡しまで待つ時間が必要です。そのぶん、間取りも仕上げも設備も自分たちで決められる。手間と自由度を交換する選び方だとお考えください。
予算は「物件価格+工事費+諸費用」の総額で考える
中古リノベで最も多い失敗が、物件価格だけを見て予算を組んでしまうことです。実際にかかるのは次の3つの合計です。
- 物件価格(+仲介手数料)
- リノベーション工事費(どこまで手を入れるかで大きく変わる)
- 諸費用(登記費用、ローン手数料、火災保険、引越し、家具・カーテンなど)
工事費は「どこまでやるか」で段階的に変わります。
- 部分リフォーム|壁紙・床の貼り替え、キッチンや浴室など水廻り設備の交換
- LDK+水廻りの改修|間取りを一部変更し、キッチン・浴室・洗面・トイレをまとめて更新
- フルリノベーション|内装を解体し、間取り・配管・電気配線から組み直す
金額はマンションの状態と工事範囲で大きく変わるため、この記事では相場の断定は避けます。ただ、「物件にいくら、工事にいくら」の配分を先に決めておくと、物件選びの判断がぶれません。総額4,000万円なら、物件2,800万円+工事1,000万円+諸費用200万円、といった具合です。
資金面では、物件購入とリフォーム費用をまとめて借りられる「リフォーム一体型住宅ローン」を扱う金融機関もあります。工事費を自己資金やリフォームローンで別に用意するより、金利面で有利になるケースが多い方法です。ただし物件の売買契約前後に工事の見積書が必要になることが多く、これが後述する「順番」の話につながります。
札幌で中古マンションを選ぶとき、見るべき5つのポイント
1|築年数は「1981年6月」以降と「1982年1月」以降で見る
中古マンションで築年数を見るとき、大事なのは数字そのものより2つの境目です。
- 1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物=新耐震基準
- 1982年1月1日以降が登記簿上の建築日=住宅ローン控除の築年数要件を満たす
2026年に入居する場合の住宅ローン控除は、原則として登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降であることが要件です。それ以前の物件でも、耐震基準適合証明書などを用意できれば適用の道はありますが、手間と費用がかかります。
また床面積の要件は40㎡以上(40㎡以上50㎡未満は合計所得金額1,000万円以下の方に限る)。控除額の上限は住宅の省エネ性能によって変わります。税制は毎年見直されますので、購入前に必ず最新の要件をご確認ください。
2|管理状況は、買ってから直せない
部屋の中は工事で作り変えられますが、建物の管理は自分ひとりでは変えられません。内見のときは部屋だけでなく、次の点も見てください。
- 修繕積立金の残高と長期修繕計画|積立額が不足していないか。将来の値上げ予定はあるか
- 大規模修繕の実施履歴|外壁・屋上防水・給排水管の更新がいつ行われたか
- 管理費・修繕積立金の滞納状況
- 共用部の状態|エントランス、廊下、駐輪場、ゴミ置き場が整っているか
とくに札幌では駐車場の確保と除排雪の体制も確認しておきたいところです。機械式か平置きか、空きがあるか、冬の排雪費用がどう扱われているか。この情報は管理会社の重要事項調査報告書で確認できます。
3|札幌でこそ確認したい、暖房方式と窓

本州の中古マンション記事には出てこない、けれど札幌では真っ先に確認すべき項目です。
暖房方式は大きく分けて、住戸ごとにボイラーを持つ個別暖房と、建物全体で熱をつくる集中暖房(セントラルヒーティング)があります。集中暖房の場合、暖房費が管理費と一緒に定額で徴収される物件もあり、「使っても使わなくても同じ額」という仕組みのことがあります。ランニングコストの考え方が根本から変わるので、必ず確認してください。
窓は、住み心地を左右する最大の要素です。同じ建物でも寒さの感じ方は住戸によってまったく違います。
- 最上階|屋根からの熱の出入りが大きい
- 角部屋|外気に触れる壁が多い。明るいが、そのぶん寒くなりやすい
- 北向き・妻側の部屋|結露が出やすい
- 1階|床下からの冷えを受けやすい
「角部屋の最上階」は一般に人気の条件ですが、断熱の観点では最も不利な位置でもあります。だからこそ、内見時に窓の仕様(単板ガラスか複層ガラスか、サッシがアルミか樹脂か)を見ておくと、購入後に必要な断熱工事の見当がつきます。
4|配管と電気容量が、間取り変更の自由度を決める
「キッチンを対面にしたい」「洗面を広げたい」。こうしたご要望が実現できるかどうかは、配管の位置でほぼ決まります。
- PS(パイプスペース)の位置|排水を集める縦管の場所は動かせません。水廻りをここから遠ざけるほど難易度が上がります
- 床の構造|コンクリートの上に空間をつくる二重床なら配管を通しやすく、床仕上げ材を直接張る直床だと制約が大きくなります
- 専有部分の給排水管|住戸内の配管は自分の負担で更新できます。築年数が経っているなら、内装をやり直すタイミングで一緒に替えるのが合理的です
- 電気容量と分電盤|IHクッキングヒーターや食洗機を新たに入れるなら、契約容量が足りるかの確認が必要です
5|管理規約が「できること」を決めている
マンションは、専有部分と共用部分の線引きがはっきりしています。この線を越える工事は、原則としてできません。
- 窓サッシ・玄関ドア・バルコニーは共用部分|勝手に交換できません。断熱を上げたい場合は、室内側に内窓を増設するのが基本の手段になります
- 床材の遮音等級|「LL-45以上」などと指定されていることが多く、カーペットからフローリングへの変更が制限される物件もあります
- 抜けない壁がある|壁式構造のマンションでは、室内の壁が構造体を兼ねている場合があり、間取り変更の自由度が下がります
- 工事の届出・承認|着工前に管理組合への申請が必要です。工事可能な曜日・時間帯、搬入経路、養生方法まで決められている物件もあります
逆に言えば、これらを事前に読み込んでおけば、想定外はほぼ起きません。管理規約と使用細則は、購入判断の前に必ず取り寄せてください。
断熱の改修は、補助金とセットで考える
札幌の中古マンションでリノベーションするなら、内装の見た目以上に投資効果が高いのが窓まわりの断熱です。そしてここには、国と札幌市の補助制度が使えます。
国|先進的窓リノベ2026事業
窓の断熱改修に特化した国(環境省)の補助制度です。2026年度の主な内容は次のとおりです。
- 補助上限は1戸あたり100万円(2025年度の200万円から縮小されています)
- マンションの専有部分の窓も対象。区分所有者本人が対象者になります
- 内窓の設置はSグレード以上の製品が対象に絞られました
- 申請は事務局に登録した事業者が代行します(施主が直接申請することはできません)
- 交付申請の受付は2026年12月31日まで(予約は11月16日まで)。ただし予算上限に達した時点で終了します
札幌市|住宅エコリフォーム補助制度(令和8年度)
札幌市独自の制度で、共同住宅の住戸部分(専有部分)も対象です。2026年度の受付は2回に分かれており、第2回は2026年9月4日(金)〜9月17日(木)、抽選日は9月30日(水)。申請は郵送のみ・必着です。
マンションの住戸で使える主な工事と補助額は次のとおりです。
| 対象工事 | 補助金額 |
|---|---|
| 窓の断熱改修(内窓の増設など) | 外寸面積0.2㎡以上1.6㎡未満:7,000円/1.6㎡以上2.8㎡未満:13,000円/2.8㎡以上:20,000円(1か所あたり) |
| 浴室の全体改修(ユニットバス設置を伴うもの) | 90,000円/か所 |
| 便器の取替(節水型便器へ) | 21,000円/か所 |
| 全熱交換器の設置 | 天井埋込形 42,000円/台、壁掛形 7,000円/台 |
| 出入口の戸の改良(引き戸への変更など) | 15,000円/か所 |
| 手すりの新設 | 3,000〜9,000円/か所(長さによる) |
| 段差の解消 | 3,000〜19,000円/室 |
交付額は総工事費(税抜)の10%、または一申請者あたり50万円のいずれか少ない額が上限。補助金の合計が3万円以上、総工事費が税抜30万円以上であることが条件です。
そして、中古購入を前提にするなら押さえておきたい注意点がいくつかあります。
- 共同住宅の外窓・玄関扉の交換は対象外です(共用部分にあたるため)。マンションで使えるのは室内側への内窓増設が基本になります
- 床・屋根天井・外壁全体の断熱改修は戸建て住宅のみが対象です
- 申請者は「補助金交付申請時に札幌市民であること」が条件です。市外から札幌へ転入して購入するケースでは、この時点で要件を満たせない可能性があります
- 申請時にまだ所有・居住していない場合でも、工事完了報告時に所有または居住していれば要件を満たせます
- 令和8年(2026年)4月1日以降に工事契約を結び、令和9年(2027年)1月31日までに完了する工事が対象です
- 同じ工事箇所で、国の窓リノベ事業等との重複申請はできません(工事箇所を分ければ両方の活用が可能な場合があります)
- 工事を請け負う会社は建設業許可を受け、札幌市内に主たる営業所を有する事業者である必要があります
制度の内容は年度ごとに変わります。最新の要件は札幌市および各事業の公式サイトでご確認いただくか、私たちにお尋ねください。
順番を間違えないこと|物件を決める「前」にご相談を
最後に、この記事でいちばんお伝えしたいことを書きます。
物件の売買契約を結んでから工事の相談に来られる方が、とても多いのです。そして、そこから次のようなことが起きます。
「壁を抜いて広いLDKにするつもりだったが、構造壁で抜けなかった」
「水廻りを移動したかったが、配管の都合で無理だった」
「工事費を見積もったら、想定の1.5倍だった」
いずれも、買う前に現地を一緒に見ていれば分かったことばかりです。
ですから、おすすめしたい進め方はこうです。
- 1. 総予算と、譲れない条件を整理する(エリア・広さ・暮らし方)
- 2. 気になる物件が出たら、内見に施工会社を同行させる
- 3. 「やりたいことができるか」と「工事費の概算」を把握してから、購入を判断する
- 4. 資金計画(ローン・補助金)を固めて、売買契約へ
- 5. 設計を詰め、管理組合へ届出、着工
弘信建設では、ご相談・現地調査・デザイン設計・お見積りまで無料で承っています。物件をお決めになる前の「これ、リノベできますか?」という段階のご相談こそ、いちばんお役に立てるタイミングです。
リフォーム・リノベーションの流れはこちらのページで詳しくご紹介しています。
実例|思い出のマンションを、こだわりを詰め込んだ住空間へ

ご両親が暮らしていたマンションをリフォームしたい。そんなご相談から始まった、札幌市内での全面リフォームの事例です。
水廻りはすべてパナソニック製品で統一。間取りの変更やこだわりの飾り棚まで、ご要望をたっぷりと盛り込んだプランをご提案しました。グレージュの壁にブラックのキッチンが映える、引き締まった印象のLDKが完成しています。

マグネットが使える黒板クロス、壁掛けのウォールフィットテレビなど、暮らしを楽しむ工夫も随所に。「マンションだからできることが限られる」のではなく、「限られた条件の中で、どこまで思いどおりにできるか」。リノベーションの面白さは、そこにあります。

ほかのリフォーム・リノベーション事例は施工実例ページからご覧いただけます。
まとめ|札幌で「中古+リノベ」を成功させる5つのこと
- 総額で考える|物件価格・工事費・諸費用の配分を先に決める
- 築年数は境目で見る|1981年6月(新耐震)と1982年1月(住宅ローン控除)
- 管理と立地は買ってからでは直せない|部屋より先に建物と街を見る
- 札幌なら暖房方式と窓を必ず確認|断熱は補助金とセットで計画する
- 相談は物件を決める前に|内見同行で「できること」と「概算」を先に知る
中古マンションのリノベーションは、選択肢が多いぶん、迷いどころも多い進め方です。「この物件、こういう風にできますか?」という一言から始めていただいて構いません。図面をお持ちでなくても、物件情報のページを見せていただくだけで、お話しできることはたくさんあります。
※フォームの「ご質問など」の欄に「中古マンションのリノベ相談」とご記入ください。
お電話でのお問い合わせ:0120-913-322(9:00〜17:30/定休日 水・日)
弘信建設株式会社|札幌市中央区大通西11丁目4番地 大通藤井ビル7F
※本記事の価格相場・補助制度の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづくものです。制度の要件や予算枠は変更されることがありますので、ご検討の際は各制度の公式サイトで最新情報をご確認ください。